雑記2
今からするのはめちゃくちゃ妄想の話。
昔から自由意志が謎だと思ってた。素朴にデカルト的、心身二元論的な自由意志をなんとなく信じてたんだけど、明らかにそれは物理法則に反してる。
仮に物理的な相互作用から独立した「自由意志」があってそれが物質に影響を及ぼすことによって僕たちは手を動かせるとしたら、それはもう魔法とかサイコキネシスと一緒なんじゃないかって、そう思っていたしなんなら実は人は自由意志が及ぶ範囲では魔法が使えるんじゃないかってほんのちょっと期待もしてた。
でも成長するに連れてどうやらそういう描像は違うらしいってことが分かってきて(クリストフ・コッホの「意識をめぐる冒険」という本にそういう自由意志を巡る話題が載っていた)、まあがっかりもするわけだけど自由意志以外にも色々非自明な(ここではほとんど「神秘的な」と同じ意味で使っているけどもちろんオカルトの話をしたいわけではない)ことはあるからそれもそうだなあって納得してきた(雑記1はそういう気持ちで書いたもの)。
じゃあこう考えよう。世界は決定論的に振舞っていて、現在の時刻における世界中の物質の位置と速度と相互作用が分かれば未来永劫世界の様子は一意に定まる。もちろんこの仮定は現実世界に照らし合わせると完璧に間違ってるけどとりあえず置いておく。妄想だからなんでもありだ。
そして自由意志を「自分の意思でこの決定された未来を変えることができる能力」と定義してみる。これも突っ込みどころはたくさんあるけど、たぶん機械的決定論とかラプラスの悪魔とかに悩まされた人が欲しかったのはこの能力だと思うから気持ち的にはなしではなさそう。
ではラプラスの悪魔に登場してもらおう。この天才的な悪魔は現在の時刻におけるすべての物質の位置と速度と相互作用が分かってるから、「僕が8秒後に右手をあげる」ということを完璧に予言できる。そしてその未来は実現する。 僕が自分の意思で8秒後に右手をあげるって行動を選んだつもりになっても(あるいはその行動をとらなくても)、それは幻想で、本当は僕の脳内のいろいろな物質(と身体や環境と)の相互作用によって生まれた結果だから、この悪魔からは逃れられない。どうしたって完璧に予言されてしまう。
僕には未来を変える力なんてない。
じゃあ悪魔が口を滑らせてしまって、僕に「君は8秒後に右手をあげるよ、この予言は絶対だ」って言ったとしたら?
そしたら悪魔に勝つのは簡単で、単に8秒後も右手を膝の上に置いたままにすればいい。
もしかしたら情報があれば僕たちは未来を変えられるのかもしれない。
長々と書いたけど、ここで言いたいのは次の思いつきに尽きる。
「情報理論をもとに自由意志を定式化できるのでは?あるいはそこまでいかなくても、情報理論によって自由意志の意味のある議論をするための枠組みを作れるのではないか?」
やっぱり僕は、自分たちが未来を作る能力を持つって可能性に賭けたいと思う。