読んだ本の備忘録③「考える技術・書く技術」
3冊目はバーバラ・ミントの「考える技術・書く技術」
内容まとめ
- 何らかのメッセージを含む文書の構造は常にピラミッドストラクチャーに従うべきだという考え方の解説書。ピラミッドストラクチャーの鉄則として以下の3つが存在。
- どのレベルであれ、あるメッセージはその下位グループ群のメッセージを要約したものではなればならない
- 各グループ内のメッセージは同じ種類のものでなければならない
- 各グループ内のメッセージは論理的な順序で配置されなければならない
- ピラミッドストラクチャーの手前に導入部を配置する。導入部は
- Situation: 状況
- Complication: 複雑化
- Question: 疑問
の順に展開され、その疑問に答える形でピラミッドの上位メッセージが対応するようにする。例えば、
-
- 状況=我々には問題がある
- 複雑化=解決策がある。それには〇〇ドルの支出を要する
- 疑問=私は承認すべきか?
ときてからその疑問に答える形で
-
- ピラミッドの上位メッセージ: この支出を承認せよ
-
- ピラミッドの下位メッセージ(上位メッセージの根拠を提示):
- 今、解決せねばならない
- この行動により問題は解決する
- 財務的に見ても支出は合理的である
- この行動により、さらに他の副次的効果が得られる
- ピラミッドの下位メッセージ(上位メッセージの根拠を提示):
のような構造を作っていく。
- メッセージ間の関係性としては演繹法と帰納法がある。演繹法の方が明快ではあるが、まどろこしいので帰納法が好まれる。ただし帰納法では下位メッセージのグループ化が自明でなくなるため、適切なグループ化ができているかを見極める技術が必要になる。
- 上位メッセージは白紙の主張は避けるべき。例えば「会社には組織に関する2つの問題がある」はNGで、「あなたが現在直面している組織上の主問題は、権限委譲が上手くできていないことである」のように具体的なメッセージを込める
感想
「ピラミッドストラクチャーだけ理解すればこんな分厚い本はいらないんじゃないか」と思っていたが、ピラミッドストラクチャーの前の導入部の作り方やピラミッドストラクチャーを支える論理構造の部分(演繹法・帰納法)はなかなか複雑で結構学ぶべきことがあった。ただしところどころ分かりにくい実例があったとは思う。世間で「読みにくい本」と言われているのも頷けた。